陥入爪
陥入爪とは
陥入爪(かんにゅうそう)とは、爪の端が皮膚に食い込み、炎症を起こした状態のことを指します。特に足の親指に発生しやすく、ひどくなると爪の横に毛細血管拡張性肉芽腫という赤いできものができて出血し、周りの皮膚も腫れて、歩行が困難になることもあります。
巻き爪との違い
「陥入爪」という専門用語に対する一般の言葉が「巻き爪」と思っている方が多いかもしれませんが、これは少し違います。「陥入爪」という言い方はあたかも爪が主人公のように聞こえる病名なのですが、わかりやすくいうと「爪が刺さって皮膚が痛い」という皮膚の状態、病気なのです。
「巻き爪」は爪が横方向に巻いていることを指していると考えられますが、陥入爪の患者さんは必ずしも爪の巻きがひどい方ばかりではありません。巻き爪があって陥入爪になることもあれば、下記に挙げるような原因で陥入爪をきたすこともあります。
陥入爪の主な原因
爪の切り方
短く切りすぎたり、切り損ねて端っこが尖ったりすると、爪が皮膚に埋まったり刺さったりしやすくなります。
靴の選び方、履き方
靴のサイズや形が合わなかったり、間違った履き方をしていたりすると、爪の横の皮膚への圧迫が繰り返し起こります。巻き爪など爪の変形を伴うことが多く、だいたい外反母趾も併発しています。
歩き方
背骨の病気や足の怪我、手術などが原因で歩き方が変わると、足の特定の指に圧力をかけやすくなります。
スポーツや外傷
例えば足をぶつけて爪が割れたときに爪が刺さって起こることがあります。またサッカーなどの運動中に強い衝撃を受けることで、爪が皮膚を圧迫して起こります。
陥入爪の治療方法
生活指導
まずは原因を突き止めることが大切です。靴の選び方、履き方に問題がある場合は正しいやり方を指導します。
爪甲楔状切除
皮膚の炎症は爪が食い込むことによって起きているので、爪の刺さった部分を楔型に切り取ることがほとんどです。
液体窒素冷凍凝固法
肉芽腫ができている場合は、窒素を液体になるまで冷やしたもので凍らせて小さくしていきます。肉芽腫が大きい場合は数週間以上かかることもあります。テーピング法を併用することがよくあります。特に感染を起こしているときは強い痛みを感じます。
テーピング法
テーピング法といって、爪が食い込まないよう、皮膚を爪とは反対方向に引っ張る方法があり、これは患者さんに毎日入浴時にテープを交換してもらう必要があります。足が湿っているとうまく貼れないので、しっかりと水などを拭き取ってから貼る必要があります。汗っかきの方ははがれやすく、またテープかぶれを起こすことがあります。
高周波電気メスによる焼灼
肉芽腫がなかなか治らない場合は高周波電気メス(サージトロン)で焼灼することもあります。麻酔のアレルギーを起こしたり、術後長いこと痛みが続いたりするリスクがあります。また傷が長期間治らなかったり、再発したりするリスクがあります。
フェノール法
爪の食い込みがひどい場合は、爪をスリムに切った上で、爪がもう生えてこないように薬品で爪の根元を化学的に焼いてしまうこともあるのですが、原因が正されないと再発することが多いのと、フェノール法によって痛みが残る、爪が中途半端に生えてきてまた刺さるなど手術の後遺症が起こりうるリスクもあるので、慎重に考えるべき最終手段と言えます。