田町駅前皮膚科

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ざ瘡

ざ瘡〈にきび〉

ざ瘡とは

ざ瘡とはにきびのことです。

10歳代から30歳代の若い人に起こりやすいですが、新生児ざ瘡といって、ホルモンの影響で生後2週間から2、3か月までの赤ちゃんに見られることもあります。ざ瘡は、毛穴に角栓が詰まった白にきび、皮脂が酸化した黒にきび、炎症を起こした赤にきび、膿が溜まった黄色にきびなどの形態を取ります。脂漏性皮膚炎という皮脂かぶれを合併して、紅斑を伴うこともあります。

ざ瘡の発症要因

まず、ざ瘡がどうやってできるかを説明します。

ざ瘡は毛穴が詰まるところから始まります。

皮膚には角化といって、表皮の一番下の細胞が、だんだん薄くなり核を失いながら上の方に押し出されてついには剥がれる仕組みがあります。毛穴の内側の最外層には、外毛根鞘という層があるのですが、ここは普通の表皮と同じように角化を起こします。また毛穴の入り口のところも、普通の表皮なので角化します。そのため、常に角質が剥がれて溜まっていきます。また、毛穴の入り口付近には、脂腺といって皮脂を分泌する構造があります。

つまり、毛穴の内側には角層が剥がれてきてかつ皮脂が出てくるので、この二つが混じり合って固まってしまい、いわゆる角栓を作って毛穴を詰まらせます。そうすると、本来皮膚の表面に出て保護するはずの皮脂がブロックされて毛穴の中に留まり、さらに角栓の塊が大きくなります。生きている限り角化が起こるので、角質も溜まっていきます。

また、常在菌のアクネ菌が増殖すると炎症を起こし、皮脂に含まれるトリグリセリドが分解されて遊離脂肪酸を作るとこれも炎症を起こします。細菌を排除しようと白血球が出てくるので膿が出ることもあります。

ざ瘡のできやすい重要な要因としては、ホルモンバランスによる皮脂の分泌増加、アクネ菌の増殖、遊離脂肪酸の刺激による角化異常といったことが挙げられます。これに加え,遺伝的な要因や年齢、食事内容、ストレス、化粧品、洗顔習慣などの要因が複雑に絡み合ってきます。

ざ瘡の治療法

スキンケア

上で説明したように、ざ瘡を予防するためには毛穴が詰まらないようにしっかり洗顔することが大事です。使用する洗顔料や、洗い方、頻度にも注意する必要があります。また、化粧品は毛穴を詰まらせにくいものを選んだ方がよいかもしれません。

ノンコメドジェニック試験といって、角栓ができにくいことを確認した化粧品というのが売られています。ただし、私見ですが、ノンコメドジェニック試験は統一したやり方でやっているわけではなさそうなので、実際の使用感で判断するのがよいのではないかと考えています。

外用療法

アダパレンゲル

ディフェリン®(アダパレン)ゲルは、ビタミンA誘導体で、顔のざ瘡に使うお薬です。角化を正常化させる作用があります。

1日1回夜の洗顔後に、にきびのできやすい範囲に広く塗ります。効果が出てくるのに3か月くらいかかることもありますが、逆に正しい塗り方で3か月経っても効いてこない時は、中止を検討します。

副作用として、効果の裏返しですが、皮がむけたりひりひりしたりします。数週間保湿をしっかりしながら外用を続けていると慣れてくることが多いですが、真っ赤に腫れてしまい使用を断念することもまれならずあります。12歳未満のお子さん、妊娠の可能性がある方は使えません。

過酸化ベンゾイルゲル、ローション、ウォッシュゲル

ベピオ®(過酸化ベンソイル)ゲル、ローションは、ざ瘡に使うお薬です。角質を剥がす作用の他、アクネ菌や黄色ブドウ球菌に対して抗菌作用もあります。

1日1回、にきびのできやすい範囲に広く塗ります。副作用として、効果の裏返しですが、皮がむけたりひりひりしたりするので、保湿しながら使うことが大切です。

副作用でゲル、ローションが使えない人のために、ベピオ®ウォッシュゲルが登場しました。濃度はゲルやローションの2倍なのですが、塗った後5~10分後に洗い流す「ショートコンタクト法」を採用することで、かぶれにくく設計されています。脱色採用があり、髪の毛や衣類につくと色が抜けてしまうことがあるので注意が必要です。12歳未満のお子さん、妊娠の可能性がある方は使えません。

アダパレン/過酸化ベンゾイルゲル

エピデュオ®(アダパレン/過酸化ベンゾイル)ゲルは、先に述べたディフェリン®ゲルとベピオ®ゲルの成分が両方入ったお薬です。アダパレンや過酸化ベンゾイルを使ってもまだにきびが出てくる場合に試すことができます。

1日1回、夜洗顔後に外用します。白にきびの状態でも、赤にきびの状態でも使用が推奨されています。

かぶれはアダパレンや過酸化ベンゾイル1種類ずつ使うよりも起こりやすく、しっかり保湿しながら使うように注意が必要です。

クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合ゲル

デュアック®(クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル)配合ゲルは、ベピオ®ゲルとダラシン®という抗生剤の成分が両方入ったお薬です。

1日1回外用します。

やはりかぶれを起こすことがあります。なお、過酸化ベンゾイルとトレチノインを混合するとトレチノインが分解されるとの報告があるため、自費診療でトレチノインを処方されている方は、同一部位に塗布しないようにした方がよいでしょう。

抗生剤(クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシン)

ダラシン®(クリンダマイシン)ゲル/ローション、アクアチム®(ナジフロキサシン)クリーム、ゼビアックス®(オゼノキサシン)ローションは、いずれも赤にきびに有効なことが確認されています。しかし、白にきびに対しては効果がありません。

ゼビアックス®ローションは1日1回、それ以外は1日2回外用します。

アゼライン酸クリーム(自費診療)

アゼライン酸は小麦やライ麦などの穀類や酵母に含まれる成分です。角化異常抑制作用、抗菌活性、皮脂分泌抑制、抗炎症作用などがあり、海外の研究でも白にきび、赤にきびへの効果が示されています。さらにミノサイクリン内服、外用抗菌薬との併用療法も有用性が示されています。

副作用としてかゆみ、赤み、ひりひり感などはありますが、軽く済むことが多いようです。

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内服療法

抗生剤

抗生剤には多数種類がありますが、にきびによく効くとされているのは、ビブラマイシン®(ドキシサイクリン)、ミノマイシン®(ミノサイクリン)、ファロム®(ファロペネム)です。特にドキシサイクリンとミノサイクリンは、細菌を殺す作用だけではなく、炎症を抑える作用があるとされています。

炎症が強いときには内服が推奨されますが、長期に内服すると耐性菌が出てきてしまうため、内服抗菌薬の投与は3カ月までとし,6~8週目に効果を判定して継続するか判断すべきとされています。過酸化ベンゾイルやアダパレンといったお薬をしっかり使いながら併用するのがよいでしょう。薬により副作用はいろいろですが、ドキシサイクリンとミノサイクリンは、吐き気やめまいが度々起こります。

漢方薬

荊芥連翹湯,清上防風湯,十味敗毒湯は、他の治療が効かないときには試してもよい治療とされています。にきびの初期で小さな赤にきび、黄色にきびがぽつぽつある場合には十味敗毒湯、脂性肌で炎症の強い赤いにきびは清上防風湯、慢性化して大きなおできを伴う場合には荊芥連翹湯、といった使い分けがされています。

イソトレチノイン(自費診療)

ビタミンA誘導体で、皮脂分泌を抑制して角層のターンオーバーを早めるお薬です。副作用が多数あるため、他の治療を十分行っても治らないにきびの方だけに処方が検討されます。

副作用としては、まず、効果の裏返しで、皮膚が乾燥します。内服薬ですので身体中乾燥して皮がむけたりかゆくなったり、唇が荒れたりします。鼻の粘膜や目が乾燥することもあります。

また、イソトレチノインは催奇性があります。妊娠中に内服していると、生まれた赤ちゃんに奇形が生じる割合が20~35%と非常に高くなってしまいます。(奇形は内服をしなくても2~3%の自然発生率があります。)そのため、男女ともに避妊が必要です。女性の場合、服用開始前1ヶ月、服用中と服用後6ヶ月間は必ず避妊をする必要があります。妊娠中・授乳中の方も内服ができません。男性の場合は、服用中と服用後1ヶ月間は必ず避妊をする必要があります。

また、骨の成長を止めてしまう可能性があるため、成長期の方は内服できません。思春期のにきびの場合は他の治療法を使う必要があります。また、うつ症状をもたらすことがあるとされています。肝機能や脂質に異常が起こることがあるため、血液検査を行いながらの内服が勧められます。

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美容施術

ピーリング(自費診療)

グリコール酸、乳酸などのAHA(アルファヒドロキシ酸)やサリチル酸などのBHA(ベータヒドロキシ酸)を用いたケミカルピーリングで毛穴の詰まりを改善することにより、にきびを減らそうとするものです。

当院ではサリチル酸マクロゴールを使用しています。副作用として薬剤による刺激症状が出ることがあります。また、アスピリン喘息やアスピリンアレルギーの方は、サリチル酸がアスピリンと構造が似ており、症状が出ることがあるため施術を受けられません。

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※Mesona-Jやにきびあとの治療については、美容皮膚科の頁をご覧ください。

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