田町駅前皮膚科

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湿疹・皮膚炎

湿疹 (接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎)

湿疹・皮膚炎とは

湿疹(しっしん)は、皮膚の比較的浅い部分に炎症が起きる疾患で、皮膚炎とも呼ばれます。皮膚科を受診する患者の中で最も多く見られる皮膚疾患です。

湿疹は、以下のような多様な皮膚症状を呈し、時間経過とともに変化します。

  • 初期症状

    ​皮膚にかゆみを伴う赤い斑点(紅斑)や、小さな盛り上がり(丘疹)、皮むけ(鱗屑)が現れる

  • 進行期

    掻くことで悪化し、汁(滲出)が出たり、水ぶくれ(水疱)や膿の粒(膿疱)ができたり、かさぶた(痂皮)になったりする

  • 慢性期

    ​長引くと皮膚が厚く硬くなり(苔癬化)、色素沈着が生じる

初期のものを急性湿疹と呼び、長引いてしまったものを慢性湿疹と呼びます。原因が特定できない時は単に「湿疹」と呼びますが、原因が分かるときや、ある一定の病型には、以下のような名前が付いています。代表的な湿疹・皮膚炎について説明します。

皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹は、皮膚の乾燥が原因で起こる湿疹の一種です。皮膚の表面を覆う皮脂膜により肌のバリア機能が低下し、外部刺激に敏感になった状態で起こります。特に冬場に起こりやすく、すねの前面や背中に好発します。

「湿疹・皮膚炎」のところで説明したように、かさついて皮がむけたり、赤くなったり、かゆくなったりすることが多いですが、見た目にあまり変化がなくても乾燥によるかゆみであることもよくあります。症状が進行すると、皮膚がごわごわしてきて、色素沈着を起こすこともあり、貨幣状湿疹と呼ばれる状態になることもあります。

発症や悪化の要因は生活習慣や環境に密接に関連しており、頻繁な入浴や強い洗浄剤の使用、空気の乾燥、洋服の刺激などです。年齢とともに皮脂分泌量が減少するため、高齢者に多く見られます。

治療の基本は、皮脂を落とさない洗浄方法と保湿です。特に入浴後すぐに保湿剤を塗ることで、油分が肌の水分を閉じ込めてくれます。症状に応じて、ステロイドの外用や抗アレルギー薬の内服も行われます。部屋の湿度があまりに低い場合は加湿器の使用もよいでしょう。刺激の少ない石鹸や摩擦の少ない綿素材の衣服を選ぶことも予防に役立ちます。症状が長引く場合や広範囲に及ぶ場合は、スキンケアの指導の上、適切なお薬を処方しますので、診察にお越しください。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位に好発する炎症性の皮膚疾患です。大人では、頭皮や、顔ではいわゆるTゾーンといわれるおでこ、眉間、鼻の周り、そして耳の後ろ、わきの下などが赤くなり、白いフケや黄色がかったかさぶたが付いていることもあります。

頭部に出たものは、俗に「フケ症」と呼ばれています。頭や顔にフケが出ると、乾燥性の湿疹と勘違いして洗うのを控え、余計悪化することがあります。洋服にもフケが落ちたりして、人目も気になります。

乳児期にも好発し、これは乳児湿疹のひとつのタイプです。生まれてから数週の間に始まり、頭皮やおでこ、眉毛の生えているところが赤くなり、黄色いかさぶたが髪の毛にこびりついていたりします。適切なスキンケアで短期間でよくなることが多いですが、ひどい場合にはお薬を使うこともあります。

脂漏性皮膚炎の発症には、マラセチア菌という常在菌が関与しているとされています。皮脂に含まれるトリグリセリドがこの菌によって分解され、分解産物である遊離脂肪酸が皮膚に刺激を与えることで皮膚に炎症が起きるのです。また環境やホルモンバランスによる皮脂の分泌の増加や、ビタミンB欠乏も要因のひとつです。

治療法は、まず患部の適切な洗浄と、ステロイドや抗真菌薬の外用が基本となります。頭皮はお薬が塗りにくいのですが、最近はシャンプータイプのステロイド外用剤も出ています。ビタミンBの欠乏がありそうなときは、内服もお勧めすることがあります。予防にも治療にも、スキンケアが一番大事なのですが、特に赤ちゃんに関しては悩まれている親御さんも多いと思います。ぜひ一度当院にご相談ください。

汗疱・異汗性湿疹

汗疱(かんぽう)は、手のひら、足の裏にかゆみを伴う小さな水ぶくれ(水疱)ができる疾患です。水ぶくれがつぶれて皮がむけること(落屑)もあり、異汗性湿疹とも呼ばれます。湿疹の一種ですので、ひどくなるとかきこわしによる傷(びらん)やかさぶた(痂皮)ができたりすることもあります。

汗の貯留と考えられていましたが、組織を取ってみてみると、どうやら汗の出てくる管とは関係なさそうということが分かってきました。季節的には春から夏にかけて発症しやすいのですが、冬に発症する患者さんも少なくはありません。

金属アレルギーが関係している場合もあり、疑わしい場合は金属パッチテストを行います。ただし、偽陰性、偽陽性も起こりうるので解釈には注意が必要です。汗疱・異汗性湿疹は、アトピー性皮膚炎の患者さんに起こることもあります。

治療は、ステロイドやサリチル酸ワセリンの外用、抗アレルギー薬の内服が基本であり、金属アレルギーがみつかった場合、歯科医と相談して口の中の金属を取り除くことも検討されます。

なかなか治らなかったり、ぶり返したりすることもあり、やっかいな病気ですが、適切な治療で症状がコントロールできることもありますので、ひどくなる前に早めに当院にご相談ください。

接触皮膚炎(一次刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎)

接触皮膚炎は、皮膚が外部の物質に触れることで生じる炎症性の皮膚疾患です。大きく分けて「一次刺激性接触皮膚炎」と「アレルギー性接触皮膚炎」の2種類があります。

まず、一次刺激性接触皮膚炎は、物理的、化学的刺激が皮膚の「がまんの限界」を超えたときに細胞がダメージを受けたときにで発症します。刺激物質が触れた部位に限局して赤み、痒み、むくみなどの症状が現れます。「原因がわからない」とされる湿疹・皮膚炎の多くの正体は、おそらくこの一次刺激性の接触皮膚炎なのでしょう。小児や高齢者のいわゆる「おむつ皮膚炎」は、おむつそのものや尿・便(特に下痢便)が刺激となって皮膚に炎症が起きるもので、接触皮膚炎の一種です。

小児皮膚科

一方、アレルギー性接触皮膚炎は、皮膚に侵入した物質に対する免疫反応によって引き起こされる皮膚炎です。原因物質は、ニッケルなどの金属、うるし、銀杏、化粧品、植物(うるし等)、外用剤(塗り薬や湿布薬)などが原因となることが多く、原因物質と接触してから症状が現れるまでに24〜48時間程度の時間差があります。一度感作されると、微量の接触でも強い反応を示すことがあります。

治療は、まず原因物質を特定し接触を避けることが基本です。日常生活の中でかぶれる製品が多い場合は、パッチテストが行われることもあります。症状に応じてステロイド外用薬や保湿剤が処方されます。また重症例では、内服薬が必要となる場合もあります。

接触皮膚炎を避けるには日常生活において皮膚の清潔を保ち、過度の洗浄を避け、適度な保湿を心がけることが大切です。

アトピー性皮膚炎

特殊な病型なので別の頁で詳しく説明します。

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