
尋常性疣贅 ウイルス性いぼ/尖圭コンジローマ
尋常性疣贅(ウイルス性いぼ)とは
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)とは、一般的に「ウイルス性いぼ」として知られる皮膚の病気で、ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus, HPV)が皮膚や粘膜のケラチノサイトという細胞に感染することで生じる良性のできものです。
HPVは現在200種類以上の型がみつかっていますが、尋常性疣贅になるのはHPV2, 27, 57などです。
小さいものは光の加減でようやくみえるかどうかですが、大きくなると表面はごつごつし、黄色や白の角質の中に血管が赤い点として見えることもあります。からだのどこにでもできますが、最も頻度が高いのは手や足です。
ウイルスの感染経路は接触感染で、足の裏で増えたり、足から手にうつったり、他の人にうつったりすることもあります。
尋常性疣贅<ウイルス性いぼ>の治療法
液体窒素凍結療法
尋常性疣贅の最も一般的な治療法は、液体窒素を用いた凍結療法です。
マイナス196℃の液体窒素でいぼとその周囲の正常組織を凍結し、ウイルスに感染した細胞を破壊する方法で、1~2週間ごとに治療を行います。
かさぶたができることもあり、その場合はかさぶたが剥がれた直後くらいに次の治療を行うと効率がよいです。よくなってくると治療間隔を空けられることもあります。凍結時の痛みが強いために脱落してしまう人も多く、また忙しくて数か月間が空いてまた大きくなってしまった、ということもあります。
リスクとして、数日間続く痛み、水ぶくれ、血豆、色素沈着、瘢痕、ドーナツ状に残る、などといったことが挙げられます。
外用薬
サリチル酸ワセリンの塗布やスピール膏Ⓡの貼付を行うことがあります。また保険適用外ですが、活性型ビタミンD3の外用も行われることがあり、ラップやスピール膏で密封すると効果が高いとされています。
痛みががまんできないお子さんなどで外用療法を行うことはありますが、液体窒素凍結療法に比べると効果は不確かといわざるを得ません。凍結療法と併用することもあります。リスクとして、周囲の正常な皮膚が溶けてしまうことがあります。
色素レーザー(V beam)(保険適用外)
このレーザーはヘモグロビンに選択的に吸収される波長を有しています。いぼは、病理組織学的には角質が分厚くなり、血管が増えている状態であり、このレーザーを照射するとヘモグロビンを容れる血管が破壊されることでいぼがダメージを受けるという仕組みです。
したがって、血管が少ないタイプのいぼには効きが悪いです。1回で治る方もいますが、そうでない場合は3~4週間に1回程度繰り返していきます。液体窒素凍結療法よりは通院頻度は少なく済みます。リスクとして、痛み、血豆があります。
トリクロロ酢酸塗布(自費診療)
トリクロロ酢酸(TCA)は組織を腐食させる強酸です。周囲の皮膚につかないように注意しながら、患部に直接塗布し、絆創膏などで保護します。その日の夜に洗い流してください。痛みのため治療が難しいお子さんなどには比較的行いやすい治療ですが、やはり定期的な通院は必要で、角質の分厚いいぼには効きが悪くなります。リスクとして、薬剤が周囲に広がるとひどい炎症を起こすことがあります。
高周波ラジオ波電気メス(サージトロン)による電気凝固術(自費診療)
電気メスを用いて、焼き焦がしてしまう方法です。うまくいけば1回で取れますが、取った後はえぐれた傷になり、傷の底にウイルスが残ると深部で再発してやっかいになることがあります。単発で小さいものはよいでしょうが、足の裏の大型のものなどではあまりよい適応ではありません。リスクとして、麻酔アレルギー、術後の痛み、瘢痕などがあります。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー 2は下付き文字で)による蒸散術
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は水分に吸収されやすい波長のレーザーです。うまくいけば1回で取れますが、取った後はえぐれた傷になり、傷の底にウイルスが残ると深部で再発してやっかいになることがあります。単発で小さいものはよいでしょうが、足の裏の大型のものなどではあまりよい適応ではありません。リスクとして、麻酔アレルギー、術後の痛み、瘢痕などがあります。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマとは、ヒト乳頭腫ウイルス(human papillomavirus, HPV)が粘膜に感染することで生じるカリフラワー状のできものです。男性でも女性でもできることがあり、陰部や肛門の周囲などに見られます。
主に性交渉によってうつり、潜伏期間は2~3か月といわれています。HPVは現在200種類以上の型がみつかっていますが、コンジローマからはHPV6, 11などが見つかっています。4価あるいは9価のHPVワクチンで予防することができます。ワクチンについては産婦人科などでご相談ください。
尖圭コンジローマの治療法
液体窒素凍結療法
マイナス196℃の液体窒素でできものを凍結し、ウイルスに感染した細胞を破壊する方法で、1~2週間ごとに治療を行います。陰部の皮膚は傷が治りやすいですが、色素沈着などあとが残ることはあります。(ほとんどの場合、長いこと待てば消えていきます。)陰部なので治療による痛みは辛いことが多いです。
ベセルナクリーム(イミキモド)外用
べセルナクリームは抗ウイルス作用のあるイミキモドという成分からなる外用剤です。週3回、就寝前に患部に塗布し、朝洗い流します。外用は原則として16週までとされています。かぶれて傷になり痛くなることがあり、その時は休薬します。液体窒素凍結療法と併用されることも多いです。
高周波ラジオ波電気メス(サージトロン)による電気凝固術(自費診療)
電気メスを用いて、焼き焦がしてしまう方法です。液体窒素凍結療法や外用療法で治らないときは考慮しますが、やはりウイルスが残って完治できない可能性があります。陰部では瘢痕による変形のリスクがあります。その他リスクとして、麻酔アレルギー、術後の痛みなどがあります。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー ※2は下付き文字で)による蒸散術(自費診療)
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は水分に吸収されやすい波長のレーザーです。液体窒素凍結療法や外用療法で治らないときは考慮しますが、やはりウイルスが残って完治できない可能性があります。陰部では瘢痕による変形のリスクがあります。その他リスクとして、麻酔アレルギー、術後の痛みなどがあります。