
熱傷 やけど
熱傷(やけど)とは
熱傷(やけど)とは、熱湯、火炎、ガスなど高温のものによって皮膚が傷害を受けるものをいいます。湯たんぽやカイロ、暖房のついた便座など、体温より少し温かいくらいのものでも、長時間皮膚に接触しているとやはり皮膚が傷害を受けることがあり、これを低温熱傷と呼んでいます。なお、低温というと冷たいもののような印象を受けますが、冷たいものに触れて傷害を受けるものは凍傷といい、低温熱傷はあくまでも皮膚よりは高温のものによる傷害を指します。
熱傷(やけど)の深さ
熱傷(やけど)はその損傷の深さにより分類されています。
Ⅰ度熱傷(表皮熱傷)
赤くヒリヒリして少しむくみます。数日で痕を残さずに治ります。
Ⅱ度熱傷(真皮熱傷)
最初は赤くヒリヒリとしていて、数時間以内に水ぶくれができたり皮がむけたりします。Ⅱ度熱傷はさらに、浅いものと深いものに分かれます。浅いものは、表皮の下にある真皮への損傷が少ないため、1〜2週間程度でほとんど痕を残さずに治ります。深いものは、真皮の深い層まで損傷を受けているもので、治るのに3〜4週間程度かかり、痕も残ります。
Ⅲ度熱傷(皮下熱傷)
皮膚の一番下の層まで損傷を受けているか、皮膚より下まで損傷を受けているものです。皮膚は灰色や黒色、褐色になり、痛みも鈍くなっています。塗り薬の治療では傷がふさがるのに長時間かかるため、面積が大きい場合には、植皮と言って手術によって他のところから皮膚を採ってきて貼り付けることもあります。
熱傷(やけど)の治療法
気道熱傷といってガスを吸い込んでのどの粘膜もやけどしている場合は、呼吸ができなくなる恐れがあるため、専門の施設に救急搬送する必要があります。またやけどの面積が広い場合も、腎不全などを起こして全身状態が悪化することがあり、やはり専門の施設で全身管理を受ける必要があります。クリニックで対応できるのは、生命の危険がない部分的なやけどということになります。当院で治療していて、手術が必要と判断された場合は、手術が可能な施設にご紹介いたします。
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Step
01
1. 患部の冷却
やけどをしたら、まず急いで受診するよりも、流水で冷やしてください。氷水や保冷剤よりも流水の方がよいとされています。時間は15~30分くらいがよいとされていますが、冬場で水が冷たくて長くできないときも、休み休みでも5分くらいは冷やしてみてください。服の上から冷やしてもよいといわれていますが、熱湯を吸った服が身体に密着しているよりは脱いでしまった方が熱に触れている時間が短く済みますので、家にいるときなどぱっと脱げる場合はまず脱いでシャワー室に駆け込んで冷やしましょう。なお、応急処置として水ぶくれができたところに市販の傷口を密封して数日貼りっぱなしにするタイプの被覆材を貼ってしまうと、診察時にはがして水ぶくれが破れてしまうことになるので、貼らないで受診してください。ガーゼなどで保護した方がよいでしょう。
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Step
02
2. ステロイドの外用
熱傷の初期には、炎症を抑えるためにステロイドの外用を行うことがあります。大きな水ぶくれがある場合は、針で破って液を出してから外用しますが、水ぶくれを切り取ってしまうことは感染がない限りは行いません。残しておいた方が、早く治り傷跡も残りにくいと考えています。ステロイドの副作用として、特に、よく洗わずにステロイドを外用した場合には、二次感染と言って細菌に感染して治りにくくなることがあります。
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Step
03
3. 軟膏、抗潰瘍薬の外用
炎症が落ち着いてきたらステロイドの外用は終わりにし、傷がふさがるのを助けるように軟膏を塗ってやはりガーゼで保護します。皮膚の壊死を来している場合は、壊死した物質を溶かしてくれるような塗り薬、抗潰瘍薬を外用することもあります。場合によっては、皮膚が塞がるのに邪魔な壊死物質を切除することもあります。外用剤でかぶれることがたまにあります。
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Step
04
4. 抗生剤の内服
糖尿病があって病状が悪く、感染が強く懸念される場合、あるいは実際に感染を来していると思われる場合などは、抗生剤の内服を行います。抗生剤の副作用として、吐き気、下痢や発疹などがあります。